みずほ銀行オンライン・システム障害について 〜 注18

公開: 2021年10月26日

更新: 2021年10月27日

注18. みずほ銀行勘定系システム統合

1999年8月20日 旧第一勧業、旧富士、旧日本興業銀行は、共同持ち株会社方式による経営統合を発表した。1999年12月、個人・中小企業向け取引部門を担う現「みずほ銀行」の勘定系基幹システムを2002年4月に第一勧銀システムに一本化する「片寄せ方式」の方針を決定した。2000年9月29日 持ち株会社「みずほホールディングス(HD)」が設立された。旧三行は持ち株会社の傘下に入った。2000年12月 当初案を見直し、勘定系システム一本化を03年4月に延期し、それまでの間は旧第一勧銀のシステムを外部と接続するメーンシステムとし、旧富士、旧興業銀の勘定系システムをリレーコンピュータ(RC)で接続する暫定方式に方針変更した。しかし、この旧第一勧銀の接続系の中でRCとやり取りするプログラムで、RCと論理的な接続経路を維持するために追加したプログラムに、特殊な条件が重なった場合に限って表面化する誤りがあり、事前に実施した疎通テストや負荷テストでも検出出来なかった。この仲介をするシステムを介して性質のことなるシステムを連結する方法は、一般的には、最も短期間での開発が可能で、最もコストがかからない方法である。その反面、大量のトランザクションを処理しなければならない銀行のオンラインシステムでは、その「リレーコンピュータ」の処理にかかる時間が、それぞれの銀行のオンラインシステムの負荷を増大させる原因となり、ピーク時の負荷が、コンピュータシステムの容量を超過する可能性もある。その過負荷問題を最小限にするためには、かなりの労力を投下した「リレーコンピュータ」とそのソフトウェア開発に求められる。さらに、全てのトランザクションを受け付ける旧第一勧業銀行のシステムは、従来からの自行の顧客からのトランザクション以外に、他の2行の顧客からのトランザクションを受け入れるために、相当な処理能力を持たなければならないことになる。また、その試験の組み合わせは大幅に増大するため、多大な時間と労力を必要とする。

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